【EDGE RECORDS】『ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!』綾小路 咲夜プレストーリー

綾小路 咲夜(CV:水橋 かおり)プレストーリー
「あなたなんか……、大好きなんだから!」

「はぁ、今日は朝から体育か。ちょっと憂鬱だなぁ…………いっ!?」

いきなり、本当にいきなり、やや小柄な少女が、俺の目の前に飛び出してきた。

「……あっ、ぐ、偶然ね……こんなコトもたまにはあるのね、ホント偶然」

絶対ウソだ、これは偶然じゃない、必然だ。

「……おはよう、咲夜」
「『おはようございます、咲夜さま』でしょ! この綾小路咲夜に朝から会えたのよ、ちゃんとした挨拶をするのが当然でしょう!!」
「はいはい、悪かったよ……、それよりどうして今日は車で登校しないんだ?」
「それは、その……、ここであなたが来るのを待ち伏せ……、ううん、けっ、健康の為よ、歩くって身体にいいでしょ」

今“待ち伏せ”って言ったよな、99%そう言った気がする。
それを確かめる余裕を与えず、咲夜はガンガン話を進めていく。

「毎日アクセク歩いているから、あなたたち庶民は健康なのよ。もし良かったら、これからも……、その庶民的登校に付き合ってあげても、いい……、かも」
「いや、別に無理しないで、いつも通りに車で通学すれば」
「でも勘違いしないで、毎日ってワケじゃないんだからねっ!! こういうのはある種のデートみたいなものだし、毎日だったら気分が盛り上がらないっていうか……」

おいおい、またも勝手に話が進んでいるし。
咲夜は小柄で美少女系、しかも超が付くほど大金持ちのお嬢様だ。
良いトコずくめな感じの彼女なのだが……、このあまりに自己中な性格だけは理解できない。
……たぶん俺、いつも側にいる咲夜が気になっている。
でも、まあ、ちょっと苦手な部分もあるのだ。

「別に私は、あなたがそうしたいって頼むなら、毎日でもいいんだけど……」
「いや、別にいいって」
「何よ、一緒に登校するだけじゃ物足りないって……、まさかこの私と手をつないで登校したいって言うんじゃないでしょうね!?」

違う!! どうしてそんな発想になるんだ!?

「そんなことしていいのは、恋人だけなんだからね! 私は恋人としか手をつながないの!」
「だったら早く、恋人を作ればいいじゃないか! 咲夜ならそう難しくないだろう」

……外見と経済的条件だけだったら、だけど。

「あなたが恋人に立候補したいって言うなら、正式な手続きを踏むことね!」
「……やれやれ、またスルーですか」
「まずは丁寧で美しく、甘い言葉に満ちたラブレターを……、ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!」

ツカツカ、ツカツカ……

何とかこの場を離れようという俺を、咲夜が追いかけてきた。

「ハァ、はぁ……、逃げないでよ! あなたごとき庶民が、世界的大金持ちの私とは付き合えないって怖気づくのはわかるけど……」

どんな自分中心の解釈だ。

「でもあなたがいつまでも告白できないなら、私からするしかないじゃない……、そんな恥ずかしいこと、させないでよね」
「っ!? やっぱり咲夜、俺の事……、好きなのか!?」
「ななっ、何をバカなこと言ってるのよ、このアホ庶民!」
「だってさっきの発言、そうとしか受け取れないじゃないか」
「この私が、あなたみたいな男に心を動かされると勘違いするなんて、脳みそが一億光年ズレてるんじゃないの?」

そんなこと言われても、あれじゃ勘違いするだろう。

「何の努力もしないあなたに、そんな夢が叶うはずないじゃない! ラブレターもくれない、愛の告白もしない、デートにだって誘わない」
「確かにその通りだけど、まだ俺は……」

咲夜とどうなりたいのか、悩んでいる段階なのだ。
デートに誘うなんて、まだ先のステップだろう。
でも咲夜とデートか……、ちょっと魅力的だな。

「まあ、今週の土曜だったらちょこっとだけ空いてるから、デートに誘うならそのタイミングしかないと思うんだけど」
「また勝手に……。でも咲夜、土曜はヒマなのか?」
「べっ、別にヒマなワケじゃないわよ、たまたまその日は、ピアノのレッスンが休みになっただけ、それだけよ! だからもし、あなたがデートに誘ってくれるなら……」
「一応、聞くけど……もしデートに行くなら、どこがいいんだ?」
「そうね、やっぱり最初のデートは、定番の『デルニーランド』よっ♪」
「へぇ……、大金持ちの咲夜も案外庶民的でカワイイこと言うんだな」
「なっ何よっ! “カワイイ”ってのは嬉しいけど“庶民的”っていうのは絶対許せないわっ!」

とことん“庶民”を意識するよな、咲夜って。

「この私が行くんですもの、当然全館貸切に決まってるでしょ! それに行くのはもちろん本場のアメリカ! 国内じゃないのっ!」
「おいおい、アメリカって……、じゃあ俺無理だよ。パスポート持ってないし」
「それなら大丈夫、早速ウチの執事に作らせてくるから。2時間もあれば大丈夫!」

どこの世界に2時間で発行してくれるパスポートがあるっていうんだ?
まあコイツなら、本当にやってしまいそうだけど。

「自家用機で行くから、朝の10時までに私の屋敷に……んっ、いない??」

これ以上、咲夜の暴走には付き合っていられない。
なので俺は、先を行くクラスの女子グループと合流した。

「そっか、みんなこの前の試験、イマイチだったんだ……。じゃあ今度の週末、一緒に勉強しようか?」
「ウン、いいよ。数学、教えてね」
「ワタシも一緒に勉強したい、いい?」
「ああ、もちろん。大勢の方がいろいろ教え合えるよね」

ドドドドドッ!!

「ちょっとちょっと、なんで他の女子と話してるのよっ!」
「いや、ただクラスメイトと話しているだけだけど」
「ムカムカムカ~、この私というものがありながら、どういう神経しているのかしら」
「あっ、だったら綾小路さんも一緒にお勉強しない?」
「わっ、私は……、勉強は嫌なのっ!! フン……じぃや、車を回して!!」

キキィィ……ガチャッ

「……お待たせしました。咲夜お嬢様」
「お先に行かせてもらうわ。庶民の皆さんはどーぞごゆっくり!」

バタンッ、ブロロロロォ~

「……おいおい、どこから来たんだよ、あの車」

まあこれで、安心して登校できるってもんだ。
……と思いつつ、いなくなってみると寂しいな。
あまり焦らすのも男らしくないし、そろそろきちんとアタックしてみるか……。

「うにゅにゅ~、私との初デートを断るなんて、ちょー大バカ男ね、アイツ!!」
「本当に大バカでございますな、あの殿方は」
「やっぱりこんな町中だから、うまく行かないんだわ。アイツが私のことをスキなのは、120%間違いないっていうのに!」
「いえいえ、200%以上間違いないと思います、咲夜お嬢様」
「アイツ、誰にでも優しいから、他のクズ女どもの相手までしちゃうのよね」
「でしたらお二人だけで、ゆっくり話せば良いではありませんか?」
「……それはいい考えだわ。二人きりならたっぷりスィートタイムが過ごせるもんね。どこにも行かせない、私のところにずっと……、ずっと一緒に……、フフッ♪」

★ 続きは6月25日発売のCD本編を聴いてね♪

【タイトル】ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!
【発売日】2008年6月25日
【税込価格】2,000円
【品番】BNEG-1006
【販売元】株式会社ビートニクス
【キャスト】水橋 かおり(綾小路 咲夜役)/今野 宏美(七宮 伊織役)
      金田 朋子(ナナ役)/あおきさやか(ノノ役)
      広橋 涼(小鳥遊 夢見役)
【イラスト】犬洞あん/水鏡まみず
【シナリオ】assault

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