『ヤンデレ惨』外伝 ユーミア編アフターストーリー7 « ヤンデレ惨 制作ブログ

『ヤンデレ惨』外伝 ユーミア編アフターストーリー7

2010/07/27(火) – アフターストーリー

どうも、腕が真っ黒にゴルフ焼けして、炎殺黒龍破を撃った後の飛影の腕みたいな色になっちゃってるオオシマPです(おおげさ)。

今回の『めだかボックス』超面白かったですね、すげーヤンデレだ(笑)。
あーゆー、セリフが異常に長いヤンデレもいいかもです。
見開きページをセリフで埋める手法にはマジでビビリました、すげえ。
つーかママさんサイコー。

そうそう、『東方』の新作発表されましたね! やった!
夏は『東方』と『うみねこ』でまた忙しくなるな……(仕事しろ)。

コメントや痛プラモの画像を送ってくださった方がいらっしゃいますので、画像のほうは掲載許可をいただいたら紹介したいと思います。
コメントも明日の更新にて。

それではアフターストリーの続きー。
今日はChapter.2-03です。

頭部を破壊されてなおユーミアに襲いかかる男たち、そして異形と化した少女。
見えざる敵が、ついにユーミアの前にその姿を現す――

『ヤンデレ惨』外伝
ユーミア編アフターストーリー「復讐の人形遣い」

~Chapter.2-03~

何かが吐き出されるような不快音と想定外のセリフに振り向いたユーミアが見たものは、二人の少女の口が裂けんばかりに目一杯に開かれ、そこから大口径の銃器が出現する光景だった。

「人体トラップですって!?」

瞬時に新たな攻撃対象を設定したユーミアは、一斉射撃の開始と同時にそれをかがんで躱し、二人の少女をまとめて右足のレッグアーマーで蹴り飛ばした。
骨と臓器が潰れる音と共に、二人は5メートルほどの距離を吹き飛ばされる。
が、ゆっくりとではあるが、どちらも何事もなかったかのように立ち上がり、砲口をユーミアに向けた。

(こちらは二体とも生体反応がある……! ゾンビではないというわけね。
いや、ユーミアの蹴りを受けてなお何事も無く動いているなら、同じようなモノだわ)

「対人兵装“クシャトリヤ”起動、目標を再設定」

ユーミアはスカートの中から超振動ブレードを取り出すと、迫り来る化け物たちと対峙した。

(死体を操る外法の業……、敵は“死法泉”の血族か……?
いや、それはあり得ないわ。綾小路ごときに“九曜”の一角を動かせるわけがない。ならば……)

見えない敵の正体を推し量り、ユーミアは誰にともなく話しかけた。

「はあ……、なんだかバタバタしてしまいました。手際が悪くてお恥ずかしい限りです。隠遁生活のお陰で、体が少しなまっていたかもしれません。
……ここからは本気でおもてなしさせていただきますわ」

言い終えると同時に、ユーミアのヘッドセットが赤い輝きを放つ。

「ユーミアは焦らされるのは趣味ではありません。前座の方には即刻ご退場いただいて、それからゆっくりお話しを伺うことにしましょう。
……拘束制御封印・壱号から五号を解除、“TYPE-SAKUYA A9”戦闘モードを“レベルD”から“レベルA”に移行、対人兵装“クシャトリヤ”フルドライブ」

ユーミアの両足から発せられる加速音は鋭さを増し、レッグアーマー裏面のスラスターから莫大な熱量が放出される。
ユーミアは一瞬で化け物たちとの間合いを詰めた。

……5秒で状況は終了した。

計五体の化け物たちは超振動ブレードの一撃によって、その全てが粉々に吹き飛ばされていた。“クシャトリヤ”のフルドライブ状態による斬撃は、斬りつけた物体の分子結合を一撃で破壊してしまう。
要するに、一撃入れてしまえば勝負は決してしまうのだ。
一体につき約一秒。
間合いに入る、斬撃する、の単純な工程を五回繰り返し化け物たちを駆逐したあと、ユーミアはライトバンの方に向き直った。

「お待たせしました……。と言っても、ユーミアは今晩お客様をご招待した覚えはありませんけど」

ユーミアの言葉には答えず、その少女は車を降りた。
拉致されていると思われた、車に乗っていた三人目の少女だ。
目隠しや猿ぐつわなどの拘束具は、いつの間にか外されている。

少女が口を開いた。

「手土産はご堪能いただけました? アポなしの訪問だったので、少し趣向を凝らしてみたんですけど……。やっぱり素体がクズの“リビングデッド”や急場しのぎの即席“生き人形”じゃ物足りなかったかしら?」

ユーミアはそれを無視して少女に尋ねた。

「死体のほうは人形じゃなかったんですね。“死法泉”(しほうせん)の業と見受けましたが」

「ええ、あそこのおウチの姉妹とはお友達なんで、特別に頼みこんで“死呪操符”を三枚ほど譲ってもらったんです。おかげで5回はランチを奢ってあげなきゃだけど……。
狙った相手に貼った瞬間に呪いが乗り移って、魔術抵抗しないと死んだら確実にゾンビになっちゃうんですって。すごいですよねー、便利な道具だと思いません?」

「……あとの二体が貴女の人形というわけですか」

「はい。もっとも、さっきも言ったように芸術にはほど遠い急場の木偶人形です。
これでも男を漁って繁華街を朝までうろついてるようなバカ女を選んだんですよ、死んじゃっても社会の損失にならないように」

(人間を戦闘人形に仕立て上げる異常能力……。間違いない、コイツは……)

ユーミアは、予想はしていたが、しかし信じがたいという思いを押し隠しつつ少女に尋ねた。

「朝倉 奏さん……、ですね」

「あはは、すごい。すぐにわかっちゃうんですね、さすがです」

奏は笑いながら答えた。

「ユーミアを狙う動機があるのは綾小路と貴女ぐらいのものです。
ただし、貴女と遭遇する可能性は、ユーミアは0.003%ほどだと思っていたのですが、まさかここまで辿り着くとは……。正直信じられません」

「なぜ? どうしてそんなふうに思ったの? あたしの妹の巴ちゃんは、貴女が以前住んでいた家を訪ね、そのまま煙のように消えてしまった。あたしが唯一の手がかりのユーミアさんを探すのは当然じゃないですか?」

「どうやって貴女はそれを探り当てたのですか?
朝倉 巴が訪れる少し前から、あのアパートの周辺はユーミアの光学擬装でカムフラージュされていた、目撃者などいるはずがありません。
それ以前に、ユーミアがここにいることは誰にも知られていないはずです」

ユーミアは疑問を一気に口にした。あまりに不可解なことが多過ぎる。

ユーミアの質問に、奏はわずかに首を捻った。

「あれ……、本当にわからないんですか? おかしいなあ。
“七罪”に関する情報って、ちゃんとメモリーに入ってるんでしょう?」

奏に言われなくとも、ユーミアは“七罪”に関する情報を所有していた。
しかし、それは「綾小路家が認識している情報」のみだった。

「“七罪”が何の関係が……、いえ、そんな、まさか……」

ユーミアはメモリーを再検索して唖然とした。

(こいつらが……、バカな!? ここまでの情報収集能力を持っているというの?)

「ようやくわかりました? さすがのあたしでもそんなこと調べるなんて出来ません。
もちろん“千里塚”さんにお願いして調べてもらったんです」

「…………」

ユーミアは唇を噛んだ。
“七罪”とは暗殺・戦闘などの破壊行為を一手に引き受ける、血塗られた七つの家系の総称である。
そして“千里塚”とは確かに“阿鎖玖羅”同様、“七罪”のひとつに序列される一族だ。
常識外れの戦闘能力で知られる、と言うよりそれしかない“七罪”の中で、唯一直接的な戦闘手段を持たない一族である。
代わりに“千里塚”は、「情報」を武器としていた。
ありとあらゆる情報を売買し、それによって相手を攻撃し、己の身を守ってきたのだ。
その情報収集能力は想像を絶し、少なくともこの地球上に起こったことで分からないことはないと言われている。
日本を支配する十二宗家の頂点“三神”の三家でさえ“千里塚”を半ば放置せざるを得ないのは、“千里塚”が所有する圧倒的な情報量の賜物だという。

しかし、これらのことをユーミアは認識していなかった。
ユーミアが所有する“七罪”、そして“三神九曜十二宗家”に関する情報は、綾小路家が所有する情報のみだからだ。
そして綾小路が知ることが出来る範囲は、ごく限られていた。
具体的には、綾小路は“千里塚”を「腕のいい情報屋」程度にしか見ていなかったのだ。
―― To Be Continued ――

次回のアフターストーリー掲載は7月29日(木)です!

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